極寒・北極・珍道中!

第13話 (最終話)

(北極点や流氷の海を体感しいよいよ日本に帰る)

この日はどうしても試してみたいことがあったので早めに起床!

ひとり家を出て雪原まで歩いて行き、立ち小便をした。-40℃の世界ではバナナで氷が打てる!と言うのは有名な話しだし間違いなく打てるだろう!それと同時に出した小便が地面に到達する前に凍るんだ!という話しを聞いたことがあるからだ。
じゃ〜〜〜っ!!ん?凍らない!僕の身体から放たれた小便は雪原の雪をピンポイントで溶かしていき、そこには深い穴が出来た。(なんだ凍らないのか!) と残念な気持ちになり部屋に帰った。

荷物をまとめると出発の前に犬達の様子を見に行った。
リーダー犬と何匹かの犬はオオカミにやられていなくなってしまったが、残りの犬達は僕の姿を見つけると、「クゥォ〜ン!クゥォ〜ン!」と遠吠えを始めた。まるで僕が今日、日本に帰るのを解っているようだ。僕は犬たちに駆け寄って「いままでありがとうな!」と一匹、一匹、頭を撫でた。
犬との別れを終え、家に戻るときも終始「クゥォ〜ン!クゥォ〜ン!」の鳴き声が続いている。
この遠吠えは、どんな名曲のバラードよりも僕の心に響くメロディーだった。

いよいよ家族との別れ!
パパさん、ママさん、三人娘さん、(訪問者の次女は目を合わせてくれなかったが)と最後の握手を交わし家を出る。
玄関を出たところで今までの感謝の気持ちを告げて、飛行場へと足を向けた。
歩き始めると、いろんな事がよみがえってくる。
イエローナイフで観たオーロラ!
犬との厳しい訓練!
夜毎の訪問者!
オオカミに食べられたリーダー犬!
イグルーでの一夜!
北極点や凍った海!
僕の頭の中に番組のエンディングテーマが流れ始めた。
(よし、後5歩進んだら、もう一度後ろを振り返り大きく手を振りさようなら〜!と言おう)
1歩、2歩、、3歩、、、
「バタン!!」
????????????まさかな〜〜〜!
4歩、、、、5歩
振り返り「さようなら〜」と叫んだ!
しかし、そこには誰もいなかった、、、、、、
えっ?やっぱりドアだったの??
そりゃ無いよ!感動の別れだよ!これじゃ番組が締まらないよ!ともと来た道を戻ろうとしたが、その時気付いた。

そうだ、イヌイットという民族は狩猟民族だ、もともと一つの所にとどまらない性質の民族だ。今でこそカナダに保護されて定住してるけど。。。。。
彼らには、さようならという言葉がないんだ。「生きていれば、いつかまた会えるさ!」野宿をした晩にパパさんが言っていた。そういう民族だ。

いつかまた会える!そうだよな、会いたくなったらまたこの地に戻って来ればいいんだよな。
僕はパパさんの家に向かい深くお辞儀をして、「本当に有り難うございました。」とつぶやき、きびすを返した。

長々とした物を愛読下さり有り難うございました。
この物語を書いていて気付いたことがあります。
この旅以降、僕は「さようなら!」と言う言葉を使わなくなりました。そう、またこの人とは会えるだろうと思うからです。

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