(撮影終了後、通訳に飲みに誘われまたまた夜の街に繰り出した僕)
向かった場所は新天地という当時の最新娯楽スポット。通りの一帯がライトアップされていて、世界中から集まったお洒落で美味しいと評判の店が集まっている。その中でもひと際、雰囲気のいいレストランバーに入った。
しばらくすると彼女もやってきて、三人で雑談をしながら飲んでいると、通訳が彼女とヒソヒソ話してから、
「明日の予定は決まってますか?」
「なーんにも決まって無いよ」
「彼女と上海観光をするので良かったら一緒にどうですか?ホテルにいてもつまらないでしょ?彼女も是非一緒にと言ってます。」と誘ってくれた。
僕はラブラブの彼女とのデートの邪魔するなんてそんな野暮な事出来ないよと一瞬だけ思いましたが、彼女もそう言ってくれてるならと動向させてもらう事にしたのだが、これでもう仕事場でもきつく言えなくなるななどと思いながら、翌日の予定を決め、その日はホテルに戻った。
翌日は午前中から豫園の九曲橋を案内してもらったのだが、付近に広がる露店に驚いた。きらびやかな宝石やチャイナ服、手彫りの判子などお土産になりそうな物がたくさん売っていた。
そんな中で僕が気になったのが、高級時計!もちろん偽物!しかも精度もそれなりに良い。値段も5千円とリーズナブルだ。これはドラマなどの時の小道具として持っていても良いのでは無いかと思い偽物ロレックスを購入しようとしたら、通訳が険しい顔をして言ってきた。
「それは買っちゃダメ!B級だから!」
「ん?B級?」
「そうB級!どうせ買うならA級かS級だよ!」
AかS?そうかランクが有るのか、Aが有ってSはスペシャルか!そうだよな、どうせならSだよな!と思い「Sは何処で買えるの?」と聞くと「露店では売ってないちゃんと店に行かないと」と言うので早速案内してもらった。
その偽物高級時計を扱う店は裏路地のいかにも怪しげな建物の中にあった。
中に入ると、確かにB級とは比べものにならないぐらいに精度がましている。
これがS級か!しかし値段も1万5千円とかなり上がっていた。ロレックスやフランクミューラー、ピアジェなどの時計をみていたら、店員が買うのか買わないのかと催促してくる。しかし偽物に1万5千円はな~と悩んでいると。
通訳が何やら店員と中国語で話し始めた、どうやら値下げ交渉をしてくれたみたいで、僕に「幾らなら買いますか?」と聞いてきた。
「うーん、二つで2万でどう?」
しかしそれでは売れないらしい、それでも粘っていたら今度は店員が「SS級をみるかい?一つ2万5千円だけど!」と聞いてきた。
僕は「これより精度がいい物があるなら見てみたい!」と言うと店員はちょっと待っててとブザーを押して店の外に出て行った。(あーやはりSS級ともなると別の場所に保管して有るのか)と思い待っているとガッチャ!と外から鍵をかけらた。えっ?鍵かけた?なんで?と僕はパニック状態に、、、、その直後屋根裏が空いて、チェホンマンばりにでかい男が屋根裏からおりてきてニヤニヤしながら僕と通訳、そして通訳の彼女を順番に見廻した。
ん?ん?ん?何この展開?俺もしかしてここで拉致られる?そんなわけ無いよね?
こんなことになるなら偽時計なんか見に来るんじゃなかった!
しかしここは中国!
何がおこっても不思議じゃない。
チェホンマン男に見つめられた僕たち三人は身動き一つとれなくなった。。。
つづく