「中国、上海試練の旅」第九話

(裏路地の怪しい店に閉じ込められた僕たち三人)

まずい!この展開は本当にまずいぞ!と通訳の方をちらっと見ると彼女と手を繋いで黙ってうつむいたまま完全に戦意喪失な雰囲気!チェホンマン男はジリジリと僕の方に近寄ってくる。どうしようもなくなって、その場しのぎの笑顔を作りどうせ伝わらないだろうなと思いながらも「あ~どうも、どうも、、、、あの~ですね~、、、SS級の、、、、、、」チェホンマン男は唇に人差し指を当て「シィーーーー!」と僕はもう何も言えなくなった。するとタバコのヤニで汚れた黄色い歯を見せながら小声で「警察うるさいよ!ばれたら逮捕ね!今出すから!待ってろね~!と片言の日本語でしゃべり出した。(待ってろね~なんて日本語はおかしいね~)とは口に出せずただ黙ってうなずいた。

チェホンマン男は背伸びをすると屋根裏部屋からSS級の時計を出して僕たちに見せてくれた。

SS級確かに精巧にできているし今までの物とは重さも違う。

するとチェホンマン男は小声で言ってきた。

「ほとんど本物ね!」

「ん?本物なの?」

「本物じゃないよ!ほとんど本物だよ!」

「と言うことは、どれかが偽物で残りは本物なんでしょ?」

「違うよ、全部偽物だよ!ほとんど本物のね!」

「?????ほとんど本物の偽物?」

「そう、本物に似ているという意味!解る?」

「あ~、そういうことね!これで1万5千円だよね?」とかまをかけてみた。

するとチェホンマン男は計算機を出して30.000と示してきた。

(くそ~っ!さっきの奴は2万5千円と言ってたのにこちらがビビってると思って足下みてきやがったな!)

「では2個買うから4万にしてくれないか?」

「だめね~!」

「4万3千円!」

「2個ダメ!最低三個ね!」

「えっ?三個って?」

「SS見た人は最低三個買う約束ね。三個で値引きして7万円ね!」

約束???そんな約束した覚えないぞ!しかも偽物三個もいらないぞ

「2個なら買うけど、3個はいらないからやめとくわ!帰ろう!」と二人に声をかけると

「買わなきゃだめね!買わないと鍵あかないし怖いよ!」と脅してきた。

すると今までただ固まってただけの通訳の彼女がものすごい剣幕で怒り出した。

「○△□×~~~~~~~~~~~~~!!!!」何を言ってるのか全く解らない!通訳は一生懸命彼女を止めようとしているが彼女の怒りは収まることなく、大声でチェホンマン男に詰め寄っていく。その怒り方は半端なく、声も大きく機関銃を乱射したような早口で、これにはチェホンマン男もビビッたらしく

「OK! OK! 2個で良いよ!2個で2万円で良いよ!安いよ!安いよ!」と最初の値段よりかなり安く購入することができた。

店を出た僕はいったい何があったのか尋ねると

「10個買うから早く出せ!そして鍵を開けてドアを開け!その足で警察に行ってここの場所ばらすぞ!このやろ~!」と言って逆に脅しに入ったというではないか!何とも頼もしい女性だ!しかし中国女子を怒らすと恐ろしいことのなるんだなと言うことを学んだ僕は今後、彼女がロケについてきても黙っておくことにしようと決めたのであった。

しかしここは中国

そんなにすんなり行くはずない!

買ったばかりの、ほとんど本物のフランクミュラーを腕につけて文字盤を見てみると僕は思わずさけびだしてしまった!

「ええっ~~~?何これ?」

つづく


「中国、上海試練の旅」第九話

「中国、上海試練の旅」第九話

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