(マッサージ室に入ってきた濁声の男)
びっくりして顔にかけられたタオルを取り、声の方を見ると、サモ・ハン・キンポーとジャムおじさんを足して2で割ったような、いかにもマッサージやりますよ!という感じのおじさんと、ボヤッキーにそっくりな2人組が白衣を着て立っていた。
(えっ?チャイナ服の2人組は?あんたら二人が係りなの?)と少し残念な気持ちになっていると、
「上と下の両方からいきますね!」
「あっ、はいお願いします!」
「強め?弱め?」
「あっ、少し強めで」
一瞬何がおきたのか解らなくなった僕は強烈なキャラのおじさん2人に120分の極楽コースマッサージを受けることになった。
しかし、サモ・ハン・キンポーとボヤッキーの力のバランスが悪く、足は激痛!肩は揉んでますか?と聞きたくなるぐらいの超弱揉みだった。一瞬でも不純な事を考えてしまった自分を恥じて、どうせマッサージ受けるんだから言いたいことは言おうと思い、ボヤッキーの方に「すいません肩もう少し強くしてください。」というと「肩強くね!肩強く!」と言うだけでたださすってるだけ、一方サモ・ハン・キンポーは足裏のツボ、痛いところばかりを攻めてくる、「いたい、いたい!」と言うと「ここは目ね、ここが肝臓!」と僕の言うことなど全く無視して押してる場所の説明ばかりする始末!
足裏が終わりふくらはぎに入るとボヤッキーは背中をさすり始めた。たださすられてるだけで一つも気持ちよくないので、ちょいときつめに「背中!もっと強く!」というと、どうやらボヤッキーの気に障ったらしく、指ではなく肘を使って押し始めた。今度は痛すぎる!
「いたい、いたい!背中痛い!」と大声で叫ぶと「そうね、本気は痛いね~、やさしくね、やさしくよ~!」とニコニコしながらいってきた。(ちょうど良いのはないんかい!)もうしょうがない、こうなったら我慢するしかない。そのまま肩胛骨、腰、太もも臀部とうつぶせ状態でのマッサージが一通り終わると「はーい、今度はあおむけね~!」といって、また足と顔から2人の攻撃が始まった。
120分のマッサージが終わったときには、これは極楽ではなく地獄のマッサージだ!メニューもそう書き直した方がよいと言う気持ちになり待合室に戻ると通訳と彼女がとても満足した顔で座っていた。
「いや~気持ちよかったですね~!」と言う通訳に「あ~そうだね!」と言うしかできなかった。
癒されるどころか、完全に疲れた温泉を後に僕らは夕飯をとりホテルに帰ることに。
そして明日は少し郊外まででてみませんか?と誘われたのでそれにも同行させてもらうことにして、明日こそは平穏な一日でありますようにと願いベットに入った!
しかしここは中国
油断をしたら怪我をする!
翌日ものすごい屈辱的な思いをするとはこの時点で知る由も無かった。
つづく