「中国、上海試練の旅」第13話

(連れうんという人生最大の屈辱をあじわった僕)

その後はしばらく平穏な日々が続き撮影も順調に進んでいたのだが、休みの前の日にまたまたスタッフ、共演者と飲みに行く事になった。

前回の経験もあるので白酒禁止令!を出した。

向かった先はKTVと言うカラオケボックス。皆さん歌が大好きらしく、店に入るなりものすごい勢いで曲が予約されていった。そしてみんな酒を注文する前からノリノリで歌いまくり、歌ってない人もその歌に合わせていろんな踊りを披露しまくっている。

しかし全て中国の歌なので僕にはチンプンカンプン!すると一人の若い俳優さんが「日本の歌を入れたから一緒に歌おう!」と言ってきた。「OK! OK!」と答えながらも知らん歌だったらどうしよう??などと考えてたら僕らの歌が入った。タイトル「Ninja」知らん!すると若い俳優さんが「イェー!イェー!」と言いながらマイクを渡してくる。イントロが流れる!なんだかヒップホップ調の歌だ。(ん?こんな歌聞いたことないぞ?)彼らは日本の歌なんだから当然歌えるだろう!という感じで僕の方を見つめてくる。困った!非常に困った!(よしこうなったら歌詞をみながら適当に歌ってごまかそう)しかし画面に映る歌詞は全て中国語で全く読めない!すると若い俳優が率先して歌い出した。サビになったら聞いたことあるかもしれない、よしそこから歌うか!しかしサビになってもただただ、Ninja,Ninjya,Ninjyaと円広志さんの「夢想花」ばりにNinjaを連呼する。絶対これは日本の歌じゃないと確信した僕は「この歌は日本の歌じゃないよ!」と言うと、若い彼は「Ninjaと言っってるから日本の歌だよ!」と最後まで曲を止める気配がない!仕方なく僕も一緒にNinja,Ninja,と連呼して一緒に盛り上がって何とかごまかした。歌い終わると「この歌知らないのか、流行ってるのに!」(それは中国でだろ!日本じゃ聞いたことないぞ!)と思わず突っ込みそうになった。すると今度は監督がじゃー日本で流行ってる歌を歌ってくれと歌本を渡してきた。嫌々、中国語の歌本渡されても、、、、しぶしぶ本を開くとJapaneseと書かれたコーナーがあった。しかし開くと演歌ばかり。「この乗りで演歌はないだろう!」としばらく曲を探してたら知ってる曲が!!!

大事manブラザーズの「それが大事!」よしこれでと番号を言うと「今満タンだから少し待ってね~~~!」と、、、、(いやいや、君たちが歌えと言ったんじゃないのかい~~~)とまたまた突っ込みを入れたくなった。それから何曲か中国語の歌を聴かされてようやく僕の順番が、イントロが流れる!するとそこにいた全員が雄叫びをあげて立ち上がりみんなで肩を組み、僕に握手を求めてくる。(ん?なんだこの展開?こちらでもヒットしたのか?)それならよかった、みんな知ってるなら歌いやすい!しかし歌が始まるとぼく以外のみんなで大合唱が始まった!しかも中国語で、、、、、、マイクを持って歌ってる僕の日本語は全く聞こえない!そして「監督がこの歌チャイニーズソングね~~~!グッドソング~!」と僕の肩まで組んできた。「いやいや、これは日本の歌だろう!」と抵抗したのだが受け入れてもらえず、全く歌えないまま歌が終わってしまった。するとまた同じ曲が流れた。僕はキャンセルと言うと彼らは「本物を聞かせるから」と再び立ち上がり歌い始めた。カラオケの画面を見ると歌詞が全て中国語!しかもバックに流れる映像は中国軍が行進している様子が映し出されている。みんなも歌詞をみないでも歌えるぐらい歌い込んでいる。(え?ひょっとしてこれ軍歌?パクリだよね?いやパクリじゃなく完全にそのまま使ってるよね!)ともうなんだか訳がわからなくなった。

しかしここは中国

そんなことは気にしない!

どうやら僕の選曲が彼らの愛国心に火をつけてしまったらしい。

その後、何曲も何曲も中国の軍歌を聴くことになった。

つづく

「中国、上海試練の旅」第13話

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